この記事で分かること
- 評価面談の前に管理職が用意する記録と基準
- 面談で話す順番と、振り返りを先に聞く理由
- 基準に届かなかった時の伝え方の記入例
評価結果を伝える日が近づき、部下の評価シートを開いたものの、結果を先に伝えるべきか、本人の振り返りを聞くべきか迷います。面談で評価への異議が出たときに、どこまでその場で答えられるかも気になるところです。
評価面談の進め方を、事前に用意する記録、当日の話す順番、意見が食い違った後の対応に沿って整理します。会社の評価基準や決定の手続きはすでにあるものとして、その運用に使える記入例を示します。
評価面談の目的と扱う範囲
評価面談は、対象期間の仕事を本人と振り返り、会社の基準に沿った評価とその根拠を伝える場です。本人が見ていた仕事の状況や、評価への疑問も聞き、次の仕事につなげます。今回の評価がすでに確定しているのか、面談後に決まるのかで、伝えられる内容と持ち帰る先は変わります。
日頃の1on1は、本人が仕事の悩みや必要な支援を話すための別の時間です。評価面談では、会社が定めた評価対象期間の目標や業務記録を使います。1on1で話したことや話さなかったこと、1on1の記録を評価には使いません。日常の対話の進め方は1on1の進め方で扱っています。
評価面談で目指すのは、上司が説明を終えることだけではありません。本人が何を評価されたのか、疑問をどこへ伝えられるか、面談後に誰が何をするかまで分かる状態にします。評価の見直しには会社の手続きがあるため、管理職が変更を約束できる範囲も先に整理しておきます。
話す材料と順番を決める
FirstHRが2026年に実施したインターネット調査では、直近1年間に人事評価または給与・賞与の決定機会があった、正社員数10人以上100人未満の企業に勤める20〜59歳の正社員267人の回答を性別・年代で補正した集計で、41.4%が現在の評価や処遇に「あまり納得していない」「全く納得していない」と回答しました。面談では、評価の根拠を伝えるとともに、本人が評価や処遇について疑問を伝えられる時間を設けます。出典:FirstHR「人事評価の納得感調査」主な調査結果1・調査の実施概要
面談では、同じ仕事を見ていても、管理職が把握している範囲と本人が担当した範囲が異なる場合があります。評価に使った記録と本人の説明を照らせるようにしておけば、情報が足りない点を見つけたときに、誰に何を調べてもらうかまで決められます。
評価面談の進め方
面談の一例として、45分を確保し、本人の振り返りと評価の説明にそれぞれ15分、質問と今後の対応に15分を使います。議論が途中で終わりそうな場合は、残った論点と次に話す日を決めます。本人の振り返りを先に聞くのは、管理職が把握していない仕事や経緯を、評価の説明前に知るためです。評価結果を先に伝える社内規定がある場合や、本人が結果を先に聞きたいと希望した場合は、結果を伝えた後に振り返りを聞きます。使う書式にも社内の決まりがあれば沿って組みます。
- 目的と対象期間を伝える。 評価が確定済みか、面談後に決まるかを説明し、今日扱う範囲を共有します。
- 本人の振り返りを聞く。 目標に対する結果と、その過程で担当した仕事、見てほしい点を尋ねます。
- 評価と根拠を伝える。 各項目の評価を示し、対象となる仕事と適用した基準を結びつけて話します。
- 疑問と認識の違いを聞く。 見落とした事実、基準の適用、評価結果への意見を分けて受け止めます。
- 次にすることを決める。 持ち帰る事項、担当者、返答する日を決め、次の仕事で期待することを共有します。
面談前に用意する記録と伝え方
まず、対象期間の目標シート、評価項目と基準、提出済みの成果物や業務記録、本人の自己評価があればその内容を手元にそろえます。評価が確定していれば、最終結果と決定権者から示された説明の範囲も見ます。途中で担当替えや業務量の変更があった場合は、その時期と引き継いだ仕事を資料に添えます。
次に、評価項目ごとに「どの仕事を見たか」「その事実を基準のどこに照らしたか」を書きます。資料が見つからない項目は、空欄のまま本人に伝えられるようにしておきます。管理職の印象と、成果物や業務の記録でたどれる事実を分けるためです。本人に事前の振り返りを求める場合は、会社で使う書式と提出先を伝えます。準備に使える時間も取り、業務と両立できる日程を組みます。
以下は、営業担当者の仕事を題材にした架空の記入例です。目標と基準は説明のために置いたもので、実際には自社の基準を使います。
| 評価する項目・基準 | 対象期間の記録 | 面談で伝える評価と根拠 | 本人に聞くこと・その後の扱い |
|---|---|---|---|
| 商談の記録:商談後に顧客の要望と次の予定を記録する | 商談記録に要望と次回の予定が残っている | 記録を示し、基準に沿って残した点を評価したと伝える | 「この記録のほかに、見てほしい仕事はありますか」。挙がった資料は評価対象か調べる |
| 期限管理:見積もりの9割以上を依頼から3営業日以内に提出する | 対象期間の見積もり20件のうち4件が提出まで5営業日かかり、3営業日以内は8割だった | 20件の提出日数を示し、9割以上という基準に届かなかったと伝える | 「当時の依頼状況や調整の経緯で補足はありますか」。依頼変更や承認待ちも記録と照合し、承認待ちで遅れそうな時は2営業日目に共有すると決める |
| 業務改善:顧客からの質問を共有する | 繰り返し受けた質問を整理し、チームの共有資料に加えた | 質問の整理と共有を評価した。基準と資料を示す | 「共有資料を作る際に、ほかに担当した作業はありますか」。追加分を記録と照合する |
表の内容は、評価を高くするための話し方の例ではありません。仕事の記録、会社の基準、管理職の判断をつなぎ、本人が違いを指摘できるようにするための例です。数値目標がある仕事でも、数字の読み方や対象期間の変更があれば、その内容を添えて話します。評価項目と無関係な印象を、根拠として足しません。
誰が何を担当するか
直属の管理職は面談で評価の根拠を説明し、本人から受け取った追加情報を整理します。部門長は管理職の権限を超える判断や、他部署の記録が必要な事項を引き受けます。評価手続きと相談先の案内は人事の担当者か兼務者が持ち、兼務の会社では、未解決の事項を最終判断を担う社長または部門長へつなぐところまで受け持ちます。本人には、誰に引き継ぎ、誰から返答があるかを面談の終わりに伝えます。
評価に納得できないと言われたとき
最初に「どの項目について、どの点が違うと感じていますか」と尋ねます。例えば、成果物が評価に含まれていないという指摘と、成果物は含まれているが基準の当て方に疑問があるという意見では、次に調べる内容が異なります。本人が話している間に評価の正しさを繰り返さず、指摘を自分の言葉で言い直し、理解が合っているか尋ねます。
次に、その場で見られる資料があれば一緒に見ます。記録の読み違いを見つけた場合でも、評価を変えられる権限があるかは別の問題です。管理職が決められないことは決定権者に渡し、調べたうえで回答すると伝えます。資料が足りないときは、本人に追加情報の提出を頼む場合の提出先も伝えます。
一例として「見積もりの記録と担当変更の経緯を部門長に伝え、5営業日後に進み具合を連絡します」と約束します。期限までに結論が出ない場合も、担当者は途中経過と次の連絡予定を返します。見直しの結果、評価が変わらない場合は、追加で見た資料、判断した人、結論と理由、社内で次に相談できる窓口を伝えます。会社が定める異議申立ての方法があれば、その方法も案内します。
本人がその場で結論に同意するまで話を続けることはしません。評価の受領を示す署名を求める会社では、それが同意を意味するのか、受け取った事実を示すのかを先に説明します。本人の意見が残っている場合は、その内容を結論と分けて記録します。
面談と記録の注意点
評価の対象は、会社が定めた期間と項目に沿った仕事です。人格や私生活に踏み込んだり、病気や家庭事情を推測して評価の理由にしたりしません。面談の記録には評価項目、本人が指摘した事実、持ち帰る事項、担当者と返答予定を残し、閲覧できる人と保存先を会社のルールに沿って限定します。
管理職に見えていなかった仕事が出てきたときは、評価対象期間や資料を調べます。上司からの依頼変更や仕事の配分も記録に含め、本人の結果だけで経緯を決めつけないようにします。面談で扱った資料と最終的な回答を本人が後から見られるよう、会社で決めた方法で共有します。
まとめ
評価面談は、対象期間の仕事と評価基準を手元に置き、本人の振り返りを聞き、評価と根拠を伝えます。意見が食い違った場合は、何が違うのかを分け、調べる人と返答日を決めます。
評価面談で管理職が迷っている場面や、評価の伝え方の悩みを伺い、どこから整えるか、研修で何を扱うかの見立てをお返しします。お問い合わせはオンラインで受け付けます。
出典
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