この記事で分かること
- 管理職に任せる仕事と支援の決め方
- 仕事・面談・社外の学びを年間に置く例
- 評価で本人の経験と会社の支援を見る方法
管理職向けの研修を受けた後、次にどんな仕事を任せ、誰が相談に乗るかが決まっていない。年度末には受講記録だけが残り、翌年も同じ研修を探している。
この記事では、社員30〜300人の会社を想定し、他部署との調整を担う管理職を例に、任せる仕事、上司との面談、社外の学び、評価の場を1年のどこに置くかを示します。
管理職の育成方法とは
管理職の育成方法とは、本人が管理職の仕事を経験し、必要な知識を得て、自分の進め方を見直す機会のつくり方です。研修は知識や他者の考えに触れる場の一つです。職場で任せる仕事や、上司と話す時間も合わせて決めると、学んだ内容をどの場面で使うかが具体的になります。
管理職に任せる仕事は、部下の育成、部署の進捗の把握、他部署との調整など、会社によって異なります。本人が持つ経験も違います。全員に同じ経験を求めるのではなく、実際に担当する仕事に合わせて機会を選びます。
個人ごとの育成計画の書式は管理職の育成計画の作り方を、育成上の課題の見分け方は管理職育成の課題とはを、就任直後の判断範囲は新任管理職の役割を参照してください。
任せる仕事の段階を決める
労働政策研究・研修機構が2024年に行った企業調査では、指定業種の従業員5人以上の企業から得た有効回答6,116社のうち、日常業務で従業員に仕事を覚えてもらう取り組みとして「段階的に高度な仕事を割り振っている」と答えた企業は28.1%でした(複数回答。管理職に限らず従業員全体についての問い)。回答した企業のうち、難しさを段階的に上げて仕事を割り振っていると答えた会社は3割弱にとどまります。自社で段階を決めるときは、上司が支援できる範囲から始め、次に任せる仕事と時期を決めます。出典:労働政策研究・研修機構「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」2・6頁
社外の講座で仕事の進め方を知っても、自社で実際に試す仕事と、迷ったときの相談相手が決まっていなければ、学びと仕事をつなぎにくくなります。反対に、仕事を任せるだけでは、判断の理由を言葉にしたり、別の方法を知ったりする時間を取りにくいこともあります。仕事、対話、社外の学び、評価をそれぞれ何のために使うか決めます。
仕事・面談・社外の学び・評価を組む4つの段階
- 扱う仕事を選びます。 年間に繰り返し起こり、本人が担当する仕事から一つ選びます。会社が持つ決定権と本人に任せる範囲も共有します。
- 仕事の前後に話す相手を決めます。 上司が定期的に時間を取り、本人が判断した理由と、会社側が支えることを話します。
- 社外の学びを選びます。 実務で扱う場面につながる講座や外部の勉強会を探し、参加前に持ち帰りたいことを決めます。
- 評価の場とのつながりを決めます。 年度中に扱った仕事と支援の状況を材料にし、次年度に任せる経験を本人と上司で話します。評価の基準や処遇は会社の制度に従います。
仕事・面談・社外の学び・評価を1年間に置く例
次の表は、他部署との調整を担う管理職についての一例です。時間と回数は予定を立てるための目安です。既存の会議や評価面談を使う場合も、それぞれの目的を分けて日程に入れます。
| 時期 | 任せる仕事 | 上司との面談 | 社外の学び | 評価の場につなぐ材料 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜3か月 | 他部署との定例会に同席し、依頼内容と回答期限を整理する | 月1回30分、関係部署と決定権を整理する | 調整の進め方を扱う講座を探す | 当初の担当範囲と支援を記録する |
| 4〜8か月 | 定例会で自部署の状況を伝え、他部署との日程調整を担当する | 月1回30分、調整が難しかった点と上司への相談を話す | 半日の講座に1回参加し、調整の方法を持ち帰る | 実際に扱った調整と会社の支援を残す |
| 9〜12か月 | 部署間で日程が合わない案件の選択肢を整理し、決裁者に提案する | 月1回30分、調整の経過と上司の支援を振り返る | 講座で得た方法を実務で使えたか振り返る | 評価面談で仕事と支援の記録を見て、次年度の担当を話す |
上司との面談は年12回、合計6時間です。講座や日常の相談は含みません。4〜8か月に、複数の管理職が自社固有の部署間調整を扱う必要があれば、その場面を題材に会社ごとに組む研修を入れる選択肢もあります。
部署をまたぐ決裁は社長が持ち、調整の相手と管理職に任せる権限は部門長が決めます。面談は上司か指導役が受け持ちます。日程と記録は、社員30〜100人の会社なら人事を兼ねる人がまとめます。人事の担当者が1〜2人いる規模なら、講座と面談の日程は人事に任せ、部門長は仕事の範囲と支援を決めることに時間を使えます。
任せる仕事は、支援と一緒に決める
他部署との調整を任せる前に、本人が伝えてよい条件と決裁者に相談する条件を決めます。定例会の日程調整は本人に任せ、部門間で優先順位が変わる判断は上司につなぐ、と分けます。上司は必要な情報と相談の時間を用意します。
年度中に部署をまたぐ案件が少なければ、他部署の定例会に陪席して、調整がどう進むかを見る機会をつくります。
上司との対話は、仕事の途中に置く
対話では、本人が扱った仕事を一つ取り上げ、どの情報を使い、何を考えて決めたかを聞きます。上司も、会社側で決めることや渡す情報を話し、次にいつ返答するかを決めます。
毎回新しい面談を増やさなくても、既存の打ち合わせの中で育成の時間を予定できます。進捗の報告だけで終わらないよう、判断の理由と上司が引き受ける支援に時間を割きます。話した内容は業務に必要な範囲で記録し、共有先を本人に伝えます。
社外の学びは、持ち帰る仕事と結ぶ
商工会議所の講座や業界団体の勉強会を探し、部署間の調整に関わる内容と開催時期を見て選びます。表では半日を目安にしていますが、実際の時間は講座ごとに異なります。
参加前に「部署間で希望する日程が合わないとき、何を整理するか」を問いにします。参加後は、使いたい方法を上司に伝え、自社の権限や業務に合う形で試します。変更に必要な判断は上司や会社が引き受けます。
評価の場では、経験と会社の支援を一緒に扱う
評価の場では、期首に任せた仕事と、実際に経験できた場面を本人と上司で振り返ります。表に残した仕事の記録に加え、必要な情報が届いたか、上司との対話や社外の学びが予定どおり使えたかも話します。経験の機会が少なかった場合は、その事情を踏まえて次年度の仕事を考えます。
定期的な対話と評価面談の目的は事前に伝えます。評価の基準と、育成のために相談した内容をどう扱うかを会社が説明し、本人が分からない点を尋ねられるようにします。上司に相談したことを、できなかった証拠として扱いません。
進めるときの注意点
育成のための仕事を増やすときは、上司や指導役も含めて今ある業務を見直し、会社が優先順位と担当を調整します。
評価では結果だけで本人の能力を判断せず、仕事の機会や必要な情報・時間があったかも扱います。社員の個人情報や評価情報を社外の講座に持ち出さず、事例は個人や取引先を特定できない形にします。
まとめ
管理職の育成方法は、研修の予定とともに、任せる仕事、上司との対話、社外の学び、評価の場を年間にどう置くかで考えます。最初に扱う仕事を一つ選び、相談相手と会社が用意する支援を決めましょう。
実際に仕事を経験できたか、上司が必要な情報と時間を渡せたかを見ながら、次年度につなげます。
研修や育成の進め方について、他部署との調整など、管理職に担ってほしい仕事と年間の育成予定を伺い、見立てをお返しします。お問い合わせはオンラインで受け付けます。
出典
支える主張2頁の企業調査概要、6頁の図表1-5:日常業務での育成の取り組み。
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