この記事で分かること

  • 新任管理職が担う仕事と判断範囲の決め方
  • 上司に相談する条件と連絡先を記す例
  • 就任後の引き継ぎと役割の見直し方

部署の納期が重なり、担当を入れ替えたい。新任管理職が自分で調整してよいのか、上司に相談してから決めるのかが曖昧なままだと、変更を伝える前に判断が止まります。就任時に、任せる仕事と相談する条件を一緒に書き出しましょう。

この記事では、就任から3か月の判断範囲と、期待する仕事や連絡先を含む役割確認メモの記入例を紹介します。

新任管理職の役割とは

新任管理職は、自分の担当業務を進めながら、部署の目標に向けて仕事を配分し、メンバーが仕事を進められるよう支えます。進捗の把握、業務上の相談への対応、育成や評価に関わる仕事もあります。何をどこまで担うかは、会社や役職によって異なります。

費用の承認、人事評価の確定、取引先との約束を変更する権限は、役職名だけでは分かりません。直属上司は、期待する仕事と決裁権限を具体的な場面で伝えます。

就任時に判断範囲を決める理由

部署内の作業順を変えることと、取引先に納期変更を約束することでは、影響する相手が異なります。どちらを本人が決め、いつ上司に相談するかを先に決めておけば、変更の前に必要な相手と話せます。

労働政策研究・研修機構の2020年の調査では、職務の遂行方法について回答した管理職4,117人のうち、66.4%が通常は上司と相談しつつ決めると答えています。調査の対象は新任者に限りません。管理職が上司と相談しながら決めることは、日常の仕事の進め方の一つです。就任時には、本人に任せる範囲に加え、上司と相談して決める場面も書き出します。

役割を決める進め方

直属上司が部署の目標と現在の業務を用意し、本人と次の順に話します。

  1. 目標に向けて期待する仕事を挙げ、従来の担当のうち引き継ぐ仕事を分ける。
  2. 社長が定めた決裁の境界と社内規程を参照し、人事を兼務する人が評価制度との整合を調べ、本人が決める範囲、相談する条件と連絡先を書く。
  3. 見直す日を決め、合意した内容を関係者へ伝える。

役割確認メモの記入例

次は、課長に就いた本人と部門長が作る架空の記入例です。期間・金額・時間は標準値ではなく、権限とともに社内規程や業務に合わせて決めます。就任前に週20時間かけていた担当業務を、引き継ぎ後は週10時間に減らし、空いた時間を進捗把握や相談対応に充てる想定です。

時期 期待する仕事・引き継ぐ仕事 本人が決めてよい範囲 上司への相談条件 相談先・不在時 上司が行うこと 見直し
就任直後〜2週目 毎日の進捗を把握する。定例報告の作成は引き継ぎ先へ渡す 担当者と期限を変えずに日々の作業順を調整する 担当者の変更や取引先との約束の変更が必要になりそうな時点、または納期への影響が見込まれた時点 部門長。不在時は社長へ電話 就任時に目標と決裁権限を伝え、引き継ぎ先を決める 2週間後、迷った場面と引き継ぎを話す
3〜4週目 進捗を把握し、メンバーと担当を調整する。定例報告の引き継ぎを終える 前の範囲に加え、承認済みの人員と期限の中で担当を変更する 納期への影響や、残業・他部署の応援が必要になりそうな時点 部門長。不在時は社長へ電話 1か月後までに引き継ぎと仕事量を本人と確認する 1か月後、仕事量と担当の調整を話す
2〜3か月目 担当調整に加え、備品の必要性を判断する。引き継ぎ後の担当業務を続ける 前の範囲に加え、予算内の備品を1件1万円まで購入する 納期への影響、残業・応援に加え、1万円超の購入が必要な時点 部門長。不在時は社長へ電話 3か月後に相談案件と仕事量を本人と振り返る 3か月後、相談した案件と仕事量を振り返る

相談条件は各時期に引き継ぎ、担当変更のように本人へ新たに任せた判断だけを除きます。期間が過ぎても権限は自動で変わらず、上司と本人が合意して更新します。

例えば3〜4週目に、担当者の休暇と納期が重なった場合、課長はメンバーと相談し、承認済みの人員で期限を守れるよう担当を組み替えます。他部署の応援が要りそうなら、依頼前に部門長へ期限と残る作業を伝えます。面談は2週間後・1か月後・3か月後に各30分を予定します。

役割を伝えるときの注意点

「主体的に判断する」と伝える場合も、何を本人が決めてよいかを示します。決まっていない権限は任せたことにせず、誰がいつまでに調べるかを記録します。メンバーからの個別相談は共有する範囲に配慮し、社内の担当窓口につなぐ条件も決めます。

管理職の仕事と従来の担当が両立できないときは、本人の判断だけを評価せず、上司が仕事の優先順位や引き継ぎ先を調整します。

まとめ

新任管理職の役割を伝えるときは、部署の目標から期待する仕事を整理し、本人の担当業務と管理職の仕事を分けます。そのうえで、本人が決める範囲、上司への相談条件、相談先をメモにまとめ、就任後の実務に照らして見直します。

就任後にどの仕事を経験し、上司がどう支えるかは、管理職の育成計画の作り方でも説明しています。役割を確認したうえで、経験や支援の計画につなげてください。

新任管理職に任せたい仕事や、判断に迷っている場面を伺い、研修で扱う内容の見立てをお返しします。ご相談はお問い合わせからオンラインで受け付けます。

出典

  1. 支える主張管理職の職務の遂行方法の決定に関する調査

    管理職の働き方に関する調査労働政策研究・研修機構・参照 2026-11-03
  2. 支える主張相談の受付窓口

    お問い合わせ株式会社Mario Rossi・参照 2026-11-03