この記事で分かること

  • 1on1と評価面談の違いと、最初の3回の進め方
  • 各回で聞くことと記録に残さないこと
  • 話した内容を評価に使わない約束の伝え方

部下との1on1を予定に入れたものの、最初に何を聞けばよいか、話した内容をどこまで残せばよいか決められないまま、初回を迎える管理職は少なくありません。面談の時間は取れても、進め方が決まっていなければ、いつもの業務報告で終わってしまいます。

最初の3回を使って、話す目的と記録の約束を決め、仕事の状況を聞き、次の行動を一緒に振り返ります。それぞれの回の質問と記録例を紹介します。

1on1の目的と評価面談との違い

1on1は、管理職と部下が定期的に1対1で話す時間です。本人が今の仕事で考えていることや、進めるうえで気になっていることを話し、管理職は必要な支援を一緒に考えます。本人が話題を持ち込み、管理職も仕事の状況について尋ねられます。

評価面談は、会社の評価制度に沿って仕事の結果や評価を伝える場です。1on1は仕事を進めるための対話の場として予定を分けます。厚生労働省の「こころの耳」でも、1on1は評価面談と異なり、業務上の悩みや課題について部下の話を聴くことを目的とする面談と説明しています。

報告が必要な仕事は普段の業務の中で扱い、1on1では本人が話したいことや、進め方に迷っていることにも時間を使います。最初から答えを出すことを求めず、持ち帰って考えると決めても構いません。

時間を取るだけで終わらせないために

労働政策研究・研修機構が2025年8〜9月に主に従業員300人以上の企業を対象に実施した調査では、1on1の導入状況に答えた1,917社のうち、27.4%が「導入済みだが実施・利用が不十分」と回答しました。自社でも日程を設けるだけで終えず、話題と次の対応を決め、後の回で進み具合を聞きます。出典:労働政策研究・研修機構「企業におけるキャリア支援の現状と課題」問6(9)

2022年1月にリクルートマネジメントソリューションズが行った調査では、全国主要都市圏の企業に勤める人事系業務を担当する正社員936人のうち、従業員100〜699人の企業の回答者312人では、57.7%が1on1を人事施策または部門施策として導入していると答えています。自社で導入を検討するときは、実施する目的と面談に充てる時間を決めます。出典:リクルートマネジメントソリューションズ「1on1ミーティング導入の実態調査」1頁

最初の3回の進め方

一例として、2週間に1回、30分ずつ予定します。部下が6人いれば、管理職の時間は月に6〜7時間です。その分をどの定例業務から空けるかを、始める前に上司と決めます。最初の3回で進め方を試し、本人と続けやすい間隔を話し合います。時間や間隔は、勤務形態や仕事の繁閑に合わせて変えます。

管理職自身の育成について、上司との面談を年間のどこに置くかは管理職の育成方法の記事で紹介しています。

  1. 1回目は、話す目的と約束を決めます。 評価面談とは別の時間であることを伝え、扱いたい話題、記録の範囲、次の予定を話し合います。
  2. 2回目は、仕事の状況を聞きます。 本人が選んだ話題について、どこで困っているか、どんな支援があると仕事を進めやすいかを尋ねます。
  3. 3回目は、決めたことを振り返ります。 前回の対応がどうなったか、残っていることは何かを聞き、面談の進め方も見直します。

担当をどう分けるか

面談と約束した対応は直属の管理職が担い、部署を越える調整は部門長が引き受けます。社員30〜100人で人事を兼務する会社では、社長が必要な調整を判断し、兼務者が記録の保存先と相談窓口を案内します。

管理職が対応できない仕事の配分や設備の問題は、本人と相談して必要な情報を整理し、判断できる人へつなぎます。どの会社でも、担当者の名前と連絡方法は始める前に本人へ伝えます。

各回で聞くことと残すこと

以下は、仕事の進め方について話す一例です。記録は本人と内容を見ながら作り、後の回で約束した対応をたどれる形にします。

回 決めること 管理職が聞くこと 残すこと 残さないこと
1回目 目的、話題、記録と共有の範囲 「この時間に扱いたい仕事はありますか」「記録を一緒に見る方法はどうしますか」 本人と決めた目的、記録の保存先と見られる人、次回の予定 雑談の全文、本人の性格についての推測
2回目 取り上げる仕事と次の対応 「どの場面で進めにくさがありますか」「私にできることはありますか」 仕事の相談事項、管理職が担当件数の調整を部門長に相談すること、返答予定 家族や健康について本人が話した詳しい内容、発言の逐語録
3回目 対応の結果と、その後の面談の進め方 「前回の対応で仕事は進めやすくなりましたか」「次は何を話したいですか」 担当件数の調整結果、未解決の事項と相談先、次回扱う話題 返答を本人の意欲や性格の評価に置き換えた文

1回目:面談の約束をつくる

最初に、管理職から「仕事の進め方や必要な支援を一緒に考える時間にしたい」と目的を伝えます。会社が定めたルールがあれば、その内容も伝えたうえで、本人に話したいことを尋ねます。面談のために事前資料を作ってもらうかどうかも話し合います。

記録については、何のために残すか、誰が見られるか、本人が内容を見直せるかを伝えます。業務上の対応を他の人に相談する場合は、本人と誰に何を伝えるかをその都度決め、同意を得て共有します。会社が安全の確保などのために情報を扱う必要がある場合の相談先や対応は、社内の規程に沿って事前に説明します。

話すことがすぐに決まらなければ、「今の担当業務で話しておきたいことはありますか」と尋ね、次の回まで持ち帰ります。質問を埋めることを目的にせず、次に話せる時間を約束します。

2回目:仕事の場面を具体にする

本人が取り上げた仕事について、いつ、どのような場面で進めにくかったかを聞きます。「何に困っていますか」だけで答えにくい場合は、「依頼を受けるときと、進めている途中のどちらで迷いますか」のように、仕事の流れに沿って尋ねます。

例えば、依頼が重なって優先順位を決めにくいという話なら、今抱えている仕事と期限を一緒に並べます。管理職がその場で順番を調整できるのか、部門長の判断がいるのかを分け、本人と次にすることを決めます。管理職が持ち帰る場合は、返答する日を決め、答えが出ていなくても途中経過を伝えます。

本人の考えを聞いた後に、管理職が持っている情報や選択肢を伝えます。返事を急がせず、次の回に話を続ける選択も残します。

3回目:対応の結果と面談自体を振り返る

前回決めた対応を見ながら、管理職が何をしたかを先に伝えます。本人には、仕事の進め方に変化があったか、まだ相談したいことはあるかを尋ねます。調整できなかった場合は、その理由と次の相談先を伝えます。

あわせて、時間や場所、質問の仕方、記録が使いやすいかを聞きます。話したいことが変われば、次回の話題も変えて構いません。管理職が話す時間が長かったと感じたら、次は本人の話を聞く時間を先に取ります。

記録と共有の注意点

記録に残すのは、本人と共有する仕事上の相談事項、決まった対応、担当者、返答の予定です。面談後に内容が違っていたと分かった場合は、本人と直します。保存先は閲覧できる人を限り、会社で定めた保存期間と削除方法を本人に伝えます。

会社は私生活の話を求めず、本人が話したくないことを無理に聞きません。面談で話したことや話さなかったことを、評価の材料として評価担当者に渡しません。面談する管理職が評価もする場合も、1on1で聞いた話をその管理職自身が評価に使わないことを、会社の決まりとして本人に伝えます。

体調や安全、ハラスメントなど、通常の業務調整だけでは扱えない相談を受けた場合は、管理職が判断を抱え込まず、本人に相談先と共有する内容を説明して、会社の窓口や専門家につなぎます。緊急の安全確保や法令上の対応が必要な場合は、そのために必要な対応を優先します。

まとめ

1on1の進め方は、初回に目的と記録の約束を交わし、仕事について本人が話したいことを聞くところから始めます。2回目で決めた対応を3回目に振り返り、面談の続け方も本人と決めます。

仕事上の対応を誰が持ち帰るかを決め、結果を本人へ返すことで、次の話し合いにつなげます。

1on1で話したいことや、管理職が迷っている場面を伺い、どこから始めるか、研修で何を扱うかの見立てをお返しします。お問い合わせはオンラインで受け付けます。

出典

  1. 支える主張2025年8〜9月実施の企業調査の対象と方法。

    企業におけるキャリア支援の現状と課題―セルフ・キャリアドック導入を中心として―労働政策研究・研修機構・参照 2026-11-03
  2. 支える主張問6(9):1on1の導入状況と有効回答数。

    企業におけるキャリア支援の現状に関する調査 クロス集計労働政策研究・研修機構・参照 2026-11-03
  3. 支える主張2022年1月の調査概要と従業員100〜699人の企業における導入状況。

    1on1ミーティング導入の実態調査リクルートマネジメントソリューションズ・参照 2026-11-03
  4. 支える主張1on1の目的と評価面談との違い。

    1on1:用語解説厚生労働省 こころの耳・参照 2026-11-03
  5. 支える主張問い合わせの案内先。

    お問い合わせ株式会社Mario Rossi・参照 2026-11-03