この記事で分かること

  • 全社共通・自社のこと・配属先の3つに分けて時間割を組む方法
  • 3日と5日の時間割の例と、担当の間で渡す内容
  • 全社共通の時間に入れる項目と時間の目安

新入社員を迎える準備で、研修に入れたい内容は挙がったものの、全員で学ぶ時間と配属先で教える時間をどう並べるか迷うことがあります。共通の説明を先に詰め込み、配属先の担当者が何を教わったのか分からないまま初日を迎えることもあります。

ここでは、内容を「全社共通」「自社のこと」「配属先」の3つに分け、3日と5日の時間割に組みます。各時間の担当と、次の担当者へ渡す内容まで決めるための例です。

研修期間の決め方は新入社員研修の期間、入社時に必要な教育の内容は入社時教育の内容、階層をまたぐ編成は社員研修カリキュラムを参照してください。

新入社員研修のカリキュラムとは

カリキュラムは、新入社員が学ぶ内容とその目的を定め、順番や時間、担当を並べた計画です。科目名だけを並べるのでなく、各時間で何を扱い、次に誰へ引き継ぐかまで書きます。

全社共通は、配属先を問わず仕事を始める人が使う基礎です。例えば、電話を取り次ぐときに、相手の名前と用件を聞いて伝える練習を扱います。自社のことは、事業や顧客、部署の役割など、その会社を知るための内容です。配属先では、担当する仕事の流れと、実務で使う手順を扱います。

この3つは、必ず別の日に実施するという意味ではありません。ひとつの仕事を題材にして、共通の伝え方を練習し、その後に自社の仕事の流れや配属先の手順につなぐ組み方もできます。

3つに分けて時間割を作る理由

同じ「報告」でも、相手に状況を伝える練習は全員でできます。一方、どの案件を誰に報告するかは、会社や部署の仕事に合わせて伝える必要があります。区分を決めておくと、全員が学ぶ部分と、配属先が実物を使って教える部分をつなげられます。

時間割に担当者と引き継ぐ内容も書いておけば、配属先は共通研修で扱ったことを踏まえて説明を始められます。共通研修の担当者も、現場の仕事で使う場面を知ったうえで演習を選べます。

時間割を組む4つの段階

  1. 配属先で最初に扱う仕事を選ぶ。 部門長と指導役に、初めに一緒に取り組む仕事と、その際に使う資料を聞きます。
  2. 必要な内容を3つに分ける。 全員が使う基礎、自社について知ること、配属先の手順に振り分けます。項目が重なる場合は、共通の時間で何を練習し、配属先で何を追加するかを書きます。
  3. 前後関係を決める。 会社の仕事の流れを知ってから部署の役割を見るように、後の時間で使う知識を前に置きます。説明だけで終わらないよう、資料を見る時間や練習の時間も枠に入れます。
  4. 担当と渡す内容を決める。 時間ごとの担当者と、次の担当者に伝える内容を記入します。日程に入りきらない項目は担当者と実施先を決め、予定から消したままにしません。

社長は研修で先に伝えたい事業の話を選び、部門長は配属先の仕事と指導役の時間を決めます。時間割は人事担当者がいればその人が、兼務の場合は取りまとめ役が作り、指導役と教材や引き継ぎを合わせます。新卒が1〜3人の会社では、電話やメールなど全社共通の基礎を外部の合同研修に任せ、自社の規則や窓口は社内で伝える方法もあります。指導役が研修を担当する時間は通常の業務予定に入れ、その間の指導役の仕事を誰が引き受けるかも部門長が決めます。

3日・5日の時間割例

受注に関わる部署へ新卒を配属する、社員30〜100人で人事が兼務の会社を想定した一例です。各日9:00〜17:00、昼休憩60分と午前・午後に各15分の休憩を取り、研修は6時間30分です。担当は説明や演習を進める人です。

日程 午前の時間割・担当 午後の時間割・担当 次へ渡す内容
3日間・1日目 9:00〜10:30【自社】事業と顧客・社長/10:45〜12:00【共通】就業規則・勤怠、給与と社会保険の手続き・取りまとめ役 13:00〜14:30【共通】安全衛生教育と相談窓口・取りまとめ役/14:45〜17:00【自社】部署の役割と受注から納品まで・部門長 手続きの残りと、事業の説明で出た質問を翌日の担当へ
3日間・2日目 9:00〜10:30【共通】情報の扱い・取りまとめ役/10:45〜12:00【共通】電話とメールの基本・取りまとめ役 13:00〜14:30【共通】報告と相談・取りまとめ役/14:45〜17:00【配属先】受注の流れと相談先・指導役 共通演習の題材と、配属先で使う連絡先を指導役へ
3日間・3日目 9:00〜10:30【配属先】注文の見本を読み必要な項目を探す・指導役/10:45〜12:00【配属先】注文内容を受け取る練習・指導役 13:00〜14:30【配属先】社内への連絡を練習・指導役/14:45〜17:00【配属先】仕事の流れを整理し質問する・指導役 扱った範囲と次に一緒に見る仕事を部門長へ

5日では上の3日間に次の2日を加え、3日間では扱えない例外の注文、関係する部署との受け渡し、実際の注文1件までを進めます。区分の配分は、全社共通が7時間、会社の説明が3時間45分、配属先が21時間45分です。1日を6時間30分として時間を合計した配分で、区分を日ごとに分ける意味ではありません。

日程 午前の時間割・担当 午後の時間割・担当 次へ渡す内容
5日間・4日目 9:00〜10:30【配属先】納期や数量の変更など、見本に無い例外の注文を扱う・指導役/10:45〜12:00【配属先】例外の時に誰へ相談するかを決めて練習・指導役 13:00〜14:30【配属先】出荷や請求の担当者を訪ね、受け渡しの場面を見る・指導役/14:45〜17:00【配属先】社内システムへの入力を練習用の画面で試す・指導役 例外の扱いで迷った点を翌日の担当へ
5日間・5日目 9:00〜10:30【配属先】実際の注文を指導役と一緒に1件処理する・指導役/10:45〜12:00【配属先】処理した1件を振り返り、手順の抜けを書き足す・指導役 13:00〜14:30【配属先】翌週から一人で扱う範囲と、一緒に扱う範囲を分ける・指導役/14:45〜17:00【配属先】次に一緒に扱う仕事を決める・部門長 研修後の仕事と指導役の予定を本人と共有

全社共通の時間に入れること

次は項目ごとの時間と実施先の一例です。合同研修に任せる場合も、自社の規則や窓口、仕事に応じた安全教育まで足りているかを会社が確かめ、足りない所を社内で補います。安全衛生教育の内容は入社時教育の内容で説明しています。

項目 時間の目安 社内の集合研修 配属先 外部の合同研修
就業規則と勤怠 45分 自社の規則と申請先を説明 部署の連絡先を補足 一般的な働き方の説明
給与と社会保険の手続き 30分 提出書類と窓口を案内 必要に応じ担当へつなぐ 扱わない(社内で扱う)
安全衛生教育 60分 共通の安全と緊急時の連絡 業務や場所ごとの危険と手順 外部の講習を使える場合がある(実施の責任は会社)
ハラスメントの相談窓口 30分 自社の窓口と連絡方法を案内 ― 一般的な考え方の説明
情報の扱い 90分 保存・共有のルールを練習 部署で使う資料を補足 一般的な注意点の説明
電話とメールの基本 75分 取り次ぎと文面を練習 部署の連絡先を補足 基本の演習
報告と相談 90分 状況を伝える練習 実際の報告先を伝える 基本の演習

表の時間は3日間の共通枠に対応します。この表は研修で説明する時間の例で、会社の手続きの全体ではありません。就業規則をいつでも見られる状態にすること、労働時間の把握、社会保険の届出、ハラスメントの相談体制を整えることは、研修での説明とは別に会社が行います。雇い入れ時の安全衛生教育は、外部の講習を使う場合も、業務に必要な内容を遅れずに行う責任が会社にあります。60分で終えられるとは限らないため、配属先の時間も確保します。

電話の取り次ぎでは、担当者が問い合わせ役となり、受講者は相手の名前と用件を聞いて担当者へ伝えます。受講者が少ないときは取りまとめ役が相手を務め、練習に使った内容と要点を指導役へ渡します。

自社のことを知る時間に入れること

会社案内を読むだけで終えず、何を提供し、どの部署がどこで関わるかを仕事の流れに沿って示します。表の例では、注文を受けるところから納品までをたどり、配属先の仕事がその流れのどこにあるかを伝えます。

事業の説明は社長が担当し、部署間の受け渡しは部門長が実際に使う資料の見本で説明します。社内で使う略語があれば、初めて聞く人にも分かる言葉に直して資料に添えます。質問への回答がその場で分からない場合は、回答する担当者を決めます。

配属先の時間に入れること

配属先では、共通の演習で扱った報告や相談を、その部署の仕事に当てはめます。見本の注文内容から必要な項目を探し、分からない項目を指導役に尋ねるところまでを練習します。次に、社内へ何を伝えるかを整理し、指導役と照らします。

最初から実際の注文を一人で処理する予定にはしません。研修の最後に、ここまで扱った内容と、次に実物を使って一緒に見る内容を部門長と本人に伝えます。実際の仕事に移る前に必要な準備が残っていれば、指導役が担当者と実施時期を決めます。

時間が足りないときの組み替え

最初に、各枠で受講者が何を見て、何を練習するかを残します。資料を読む時間と説明が重なる箇所はまとめ、自社の説明の中で配属先の仕事につながる部分を優先します。練習を短くする場合も、実際に使う資料と質問を受ける時間を予定に入れます。

枠から外した項目には、後で扱う担当者と予定を書くようにします。ただし、雇い入れ時の安全衛生教育や就業規則の周知のように会社が必ず行うものは、後回しにしません。例えば注文書の種類を詳しく見る時間が入らなければ、指導役が配属先の予定に置き、共通研修の担当から本人へその予定を伝えます。時間割を作った人だけが変更を知っている状態にしません。

実施するときの注意点

時間割は本人と担当者に事前に共有し、場所、持ち物、相談先も添えます。業務の事例を演習に使う場合は、個人や取引先を特定できる情報を外します。質問や練習の途中での間違いを、本人の評価に使いません。

配属先の指導役が不在になる場合に備え、部門長は代わりに説明できる人を決めます。説明を受けたかどうかだけで済ませず、受講者が資料を使いながら質問できる時間を設けます。予定を変更したら、本人と次の担当者の両方に伝えます。

まとめ

新入社員研修の時間割は、配属先で最初に扱う仕事を起点に、全社共通、自社のこと、配属先で教えることの3つに分けて組みます。それぞれの時間に扱う内容と担当を決め、共通の練習を自社の仕事につなげます。

3日と5日では使える時間が違います。扱う範囲を表に書き、後の時間に渡す内容と、予定に入らなかった項目の担当を決めておきましょう。

新入社員が配属先で最初に扱う仕事と、今考えている研修の時間割を伺い、どこから組み立てるか、研修で何を扱うかの見立てをお返しします。お問い合わせはオンラインで受け付けます。

出典

  1. 支える主張問い合わせの案内先。

    お問い合わせ株式会社Mario Rossi・参照 2026-11-03