この記事で分かること

  • 最初の仕事から入社時に教える内容を選ぶ方法
  • 教育する時期・担当・確認方法の記入例
  • 業務に合わせた安全衛生教育の考え方

入社時教育の予定を作ろうとして、会社の説明や勤務のルールは用意できたものの、配属先で何をいつ教えるかが決まらない。そんなときは、最初に任せる仕事から必要な内容を選びます。

この記事では、全員に伝えることと仕事ごとに教えることを分け、時期、担当、確認方法を表にするまでを扱います。新卒と中途のどちらにも使える進め方です。

入社時教育の目的と範囲

入社時教育の目的は、新しく加わった人が必要な情報を得て、安全に仕事を始められるようにすることです。勤務のルールや相談先に加え、仕事の受け方、判断できる範囲、困ったときの連絡先を伝えます。

全員に必要な項目には勤怠や社内連絡があります。設備の操作や顧客情報の扱いは、担当する仕事に合わせて選びます。入社日にすべてを詰め込まず、仕事に必要になる時点に合わせて配置します。

仕事から選ぶ理由

同じ「事務」の仕事でも、社外からの問い合わせを受ける人と、社内の資料を整理する人では、最初に必要な手順が異なります。先に仕事を具体的にすれば、共通の説明と職場での練習を分けられます。安全に関わる内容も、実際に行う作業に照らして選べます。

内容を選ぶ進め方

1. 最初の仕事を作業単位にする

配属先の部門長は、入社後に任せる仕事を書き出します。例えば「営業」なら、依頼を受ける、資料を作る、担当者に報告する、と分けます。各作業に使う道具や情報、本人が判断できる範囲も並べます。配属先が未定なら共通項目から準備し、決定後に仕事別の項目を加えます。

2. 教える内容と時期を選ぶ

勤務の連絡先や相談窓口は共通項目にします。資料の取り扱いや作業手順は、仕事別の項目にします。本人がこれまで経験した仕事や初めて使う道具を聞き、自社固有の手順を含めて説明の量を調整します。

安全に仕事を始めるための事項は、実際の作業に入る前に扱います。使用頻度の低い制度は、最初に資料の場所を知らせ、利用する時期に説明する方法もあります。後に扱う内容にも予定日と担当を付けます。

3. 担当と確かめ方を決める

社員30〜100人で人事を兼務する会社では、共通資料と日程を人事担当者が整え、仕事別の内容と担当範囲を部門長が決める分担が考えられます。社長は全体の方針と指導時間を決め、指導役は実際の作業を教えます。部門長が指導役を兼ねても構いません。

指導役の時間は、一例として最初の1週間は毎日30分、2週目以降は週1時間を予定に入れます。作業の危険性や経験によって増減し、通常業務との重なりを部門長が調整します。教育後は、資料を開けるか、作業を安全に試せるかなど、項目に合う方法で確かめます。

教育項目の選定表と記入例

下表は、事務担当者が依頼を受けて資料を整理する仕事を始める場合の一例です。各時期の欄には、その時点で行う内容を記入しています。「―」は、その時期にこの例では新たな説明を予定しない意味です。安全衛生教育は業務に応じて雇入れ時に遅滞なく行います。

内容 対象 入社前 初日 1週目 1か月目 担当 確認方法
勤怠と相談先 全員 初日の連絡先を案内 欠勤連絡と相談窓口を説明 ― ― 人事兼務者 連絡先と資料の場所を本人が探す
安全衛生 全員・内容は担当業務別 ― 避難経路、業務に必要な安全衛生を教育 作業に応じて安全な手順を実地で教える ― 部門長・指導役 担当作業の危険と対処を説明し、手順を試す
依頼の受け方と資料の扱い 事務担当 ― 依頼先と情報の保存場所を案内 指導役と依頼を整理し、資料を保存 実際の仕事を振り返る 指導役 依頼内容・報告先を整理し、指定場所に保存する

表を使う際は自社の予定日と資料名を加えます。教育を行った日と、まだ扱っていない項目の次の予定を残すと、交代する担当者にも引き継げます。1か月目の振り返りでは、本人が迷った箇所と資料や練習時間の不足を一緒に見て、追加の練習を決めます。この振り返りは評価の場ではありません。

実施するときの注意点

安全衛生教育は業務に合わせる

労働安全衛生法第59条第1項は、労働者を雇い入れたとき、事業者にその業務に関する安全または衛生のための教育を求めています。全業種で必要です。労働安全衛生規則第35条第1項は、作業手順や事故時の措置など、列挙された事項のうち従事する業務に必要な事項を、遅滞なく教育するよう定めています。扱う内容は業務によって変わります。

同条第2項は、列挙事項の全部または一部について十分な知識と技能があると認められる労働者には、当該事項の教育を省略できると定めています。経験年数だけで一律に省略せず、どの事項に知識と技能があるかを見ます。危険または有害な業務には、別途特別教育が必要な場合もあります。

教育できなかった仕事の範囲を調整する

予定どおりに教育できなかった場合、部門長は未実施の内容と仕事の危険を見て、任せる範囲を調整します。権限に関わる事項を扱う前には、必要な説明を行います。相談先は指導役のほかにも設け、本人の話を共有する範囲に配慮します。

まとめ

入社時教育は、最初に任せる仕事を具体的にし、全員に必要な内容と仕事別の内容を分けて選びます。人事と配属先が、教える時期、担当者、確認方法を表にすると、準備と実施後の見直しを進めやすくなります。

入社時教育については、任せたい仕事を伺い、進め方の見立てをお返しします。お問い合わせはオンラインで受け付けます。

出典

出典

  1. 支える主張相談の案内先。

    お問い合わせ株式会社Mario Rossi・参照 2026-11-03
  2. 支える主張第59条:雇入れ時の安全衛生教育。

    労働安全衛生法厚生労働省・参照 2026-11-03
  3. 支える主張第35条第1項・第2項:教育事項と省略。

    労働安全衛生規則厚生労働省・参照 2026-11-03