この記事で分かること

  • 共通研修と役割別の研修を選ぶ手順
  • 新人・中堅・管理職の研修の編成例
  • 既存の研修科目を削る判断の例

年間の研修計画を見直すとき、新人・中堅・管理職それぞれにどの科目が必要か、今ある研修をどう組み合わせるか迷うことがあります。階層ごとの仕事から編成表を作ると、研修の対象と内容を整理できます。

この記事では、新人・中堅・管理職の編成表と年間の実施例を示します。全員に共通する内容と役割別の内容を分け、外す科目とその理由、研修後に職場で見る人まで記します。

階層別カリキュラムの意味と目的

階層別カリキュラムは、新人、中堅、管理職などが担う仕事に合わせて、学ぶ内容と順番を整理した計画です。新人は仕事の受け方を学び、中堅は後輩への伝え方を練習し、管理職は仕事の配分や育成を考える、といった分け方ができます。

同じ階層でも、仕事の範囲や経験は人によって異なります。表は一律に受講を決める名簿ではなく、実際の役割に応じて内容を選ぶために使います。

研修と仕事の機会を合わせる理由

研修で扱った内容を使う場面が職場になければ、受講者は仕事に結びつけにくくなります。例えば後輩指導を学んでも、教える予定が先なら、内容を使う時期に合わせて受講日を組めます。逆に共通する仕事の受け方は、複数の部署から新人が集まって練習できます。

研修日と科目名に加え、その後にどの仕事で試し、誰と振り返るかを記すと、職場側も受講後の時間を予定できます。

カリキュラムを作る手順

  1. 仕事と役割を集める。 部門長と受講者に、普段の仕事と今後任せる仕事を聞きます。判断する範囲や相談先まで書くと、研修で扱う場面が見えてきます。
  2. 共通と役割別に分ける。 情報の扱いなど全員に共通する内容を選び、後輩指導や仕事の配分などは、担当する役割に合わせます。
  3. 科目を選び、方法を決める。 今ある科目も並べ、誰が何に使うかを照らします。共通の考え方や演習は集合研修、個別の業務手順はOJT(仕事を通じた指導)というように分けます。
  4. 実施時期と職場で見る人を決める。 仕事で使う時期に合わせて研修を置き、受講後に試す内容と振り返りの担当を表に記します。

社員30〜100人の会社で人事を兼務する場合は、まず社長が育成の優先順位と研修時間を決めます。そのうえで、部門長が任せる仕事と受講時期を選び、指導役が職場での実践を見ます。表と日程は兼務担当者がまとめます。社長や部門長が担当者を兼ねても構いません。

新人・中堅・管理職の編成表

以下は、共通の情報管理教育と役割別の研修を組み合わせた会社の一例です。対象者の経験や、その年に任せる仕事に応じて書き換えてください。

対象・任せる仕事 研修で扱う内容と演習 外す科目と理由 集合研修かOJTか 職場で確認する人・内容
全社員:情報を適切に扱う 情報管理の共通教育 ― 共通教育を実施 ―
新人:依頼を受け、進捗を報告する 依頼内容を聞き取り、報告する練習 中途入社者向けのビジネスマナー:経験と担当する仕事に応じて判断する 報告の基本は集合研修、部署の報告手順はOJT 指導役が実際の報告を一緒に振り返る
中堅:後輩に作業を説明する 手順を説明し、相手の質問を受ける練習 基本操作:前職で同じ業務を経験した人は、操作の習熟度に応じて判断する 説明の練習は集合研修、担当業務の指導はOJT 部門長が指導の進め方を本人と振り返る
管理職:チームの仕事を配分する 業務量と期限を見て配分を考える演習 後輩向けの基本操作説明:日常の担当から外れている 配分の演習は集合研修、実際の調整はOJT 上位の管理者が配分の結果を本人と振り返る

表の「外す科目」は、その人や会社に不要と決めつけるものではありません。仕事の変更や経験の違いによって、受講を選び直します。法令上必要な教育や安全に関わる内容は、この例を理由に省かず、適用される要件と業務に応じて扱います。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の「令和8年度生産性向上支援訓練カリキュラムモデル」には、中堅・ベテラン従業員による後輩指導のコースがあります。科目と演習を考える際の参考にし、自社の仕事と受講者に合う内容を選びます。

年間の時間と回数の一例

次の時間と回数は、調査に基づく標準値ではなく、年間計画を作るための一例です。集合研修の時間を示しており、OJTの時間は含みません。

対象 年間の集合研修 実施時期と単元 職場での振り返り
新人 2時間を3回、計6時間 入社初月に仕事の受け方と報告、2か月目に相談、3か月目に事例演習 各回の2週間後に指導役と30分
中堅 2時間を2回、計4時間 年前半に後輩への説明、後半に指導の事例演習 各回の1か月後に部門長と30分
管理職 3時間を2回、計6時間 年前半に仕事の配分、後半に育成と面談 各回の1か月後に上位の管理者と30分

例えば新人が少人数の年は共通部分を他の入社者と一緒に実施できます。受講後に試す仕事がない場合は、実際に担当する時期に研修を合わせるか、演習の場を用意します。

今ある研修から削る判断の例

今ある科目 判断の一例 理由
新人研修と中堅研修で同じ操作を繰り返す科目 中堅向けの重複分を削る 対象者が既に使っており、新たな練習の目的がない
使わなくなった旧システムの操作 科目を削る 業務で使っていないことを部門長が確かめた
全部署共通の説明に含まれる部署固有の操作 共通研修から削り、必要な部署のOJTに移す 使用する部署と手順が限られている

削る前に、受講者と部門長に現在の仕事との関係を聞き、必要な教育が抜けないようにします。残す・移す・削る理由を表に記しておけば、次の担当者も判断をたどれます。

運用するときの注意点

研修日を決める際は、受講者だけでなく指導役の業務予定にも時間を確保します。欠席者には資料を渡し、演習や補講が必要かを部門長と決めます。

職場で試せなかったときは、本人の理解だけに原因を求めず、仕事の機会や任せられた範囲も見ます。振り返りで出た内容は次の編成に反映します。

まとめ

社員研修のカリキュラムは、階層ごとの役割を仕事の場面で確認し、研修と職場での経験を組み合わせて作ります。共通の内容と個別に調整する内容を分け、受講後の振り返りまで計画しておきます。

社員研修については、任せたい仕事を伺い、進め方の見立てをお返しします。お問い合わせはオンラインで受け付けます。

出典

出典

  1. 支える主張相談の案内先。

    お問い合わせ株式会社Mario Rossi・参照 2026-11-03
  2. 支える主張103頁:中堅・ベテラン従業員の後輩指導に関する研修モデル。

    令和8年度生産性向上支援訓練カリキュラムモデル高齢・障害・求職者雇用支援機構・参照 2026-11-03