この記事で分かること

  • 調査で見た新入社員研修の期間の分布
  • 最初の仕事に必要な時間から研修期間を決める方法
  • 仕事別に配属前の日数を計算した例

入社日が近づき、研修会場を何日押さえるか決める。配属先で最初に任せる仕事も決まっていなければ、研修に何日必要かを見積もれません。

この記事では、2021年と2026年の調査で他社の期間の幅を見たうえで、最初の仕事を始める前に必要な時間を積み上げ、配属前の研修期間を決める方法を記入例とともに紹介します。

調査で見た新入社員研修の期間

デジタル・ナレッジが2021年6月に行ったウェブ調査は、従業員100人以上の企業で新入社員研修を実施する人事・研修担当者が対象です。有効回答100件のうち、研修期間の設問には99件の回答がありました。「今年の新入社員の研修期間」を尋ねており、集合研修だけの日数とは限りません。出典:デジタル・ナレッジ「新入社員研修に関する調査報告書」3頁・40頁

1週間・2週間と答えた割合

99件のうち「1週間」は23.2%、「2週間」は26.3%で、2週間が選択肢の中で最多でした。自社ではこの幅も参考に、配属前に必要な内容を並べて日数を見積もります。100人未満の企業は調査対象に含まれず、最多の期間が自社に適するとは限りません。

残る短い選択肢は「数日」が8.1%、「1日」は0件でした。数日で組む場合も、必要な説明と安全衛生教育をいつ行うかを先に決めます。

1か月以上と答えた割合

「1ヶ月」は21.2%、「2ヶ月」は10.1%、「3ヶ月以上」は11.1%でした。配属前に複数の職場を経験する予定があれば、その期間も含めて日程を作ります。この調査は期間別の研修の成果を比べたものではありません。

より新しい調査として、学情が2026年2月19日から3月4日に企業・団体の人事担当者へ行ったウェブ調査(有効回答933件)では、今年の研修期間は「1か月超〜3か月以内」34.0%が最多で、「1週間超〜1か月以内」31.2%、「1週間以内」15.8%、「3か月超〜半年以内」9.4%が続きました。2021年の調査とは対象と選択肢が異なるため、割合をそのまま増減として比べることはできません。回答した企業・団体のうち1か月を超える研修が4割を超えるので、自社の予定を考える際は、集合研修に加えて職場を回る期間を含めるかを先に決めます。出典:学情「新入社員研修についての企業調査」1・2・4頁

共通の研修を外部で受ける選択肢

労働政策研究・研修機構が2010年に聞き取った食品製造・販売業のP社は、従業員105人のうち正社員が89人で、同年4月に新卒者を4人採用していました。新卒者は2日間のオリエンテーションと、商工会議所の新入社員研修に2日間参加した後、製造現場や営業事務など各職場を回り、3か月の研修後に配属されました。新卒者が少人数の会社では、共通の研修を外部の合同研修で受け、会社固有の説明や職場での経験を社内で組むことも選べます。出典:労働政策研究・研修機構「企業アンケート調査と企業ヒアリング調査」193頁

配属後の最初の仕事から期間を決める

ここでは、入社日から配属先で最初の仕事を始める前までを配属前の研修期間とします。配属先で実際の仕事をしながら受ける指導は別に数えます。

  1. 最初の仕事を決める。 配属先が最初に任せる仕事と、指導役が一緒に見る範囲を決めます。
  2. 必要な時間を見積もる。 会社共通の説明、仕事の準備、必要な安全衛生教育について、それぞれの内容と担当者、時間を書きます。
  3. 勤務日に置き直す。 時間を足し、休憩や移動、講師の空き、実際に受講できる時間を踏まえて日数に直します。
  4. 配属日を調整する。 指導役の予定と最初の仕事が発生する時期を照らし、受け入れられる日を決めます。

配属日は社長が決め、最初に任せる仕事と指導の時間は配属先の部門長が決めます。指導役の通常業務を減らすのも部門長です。共通の説明と日程は、社員30〜100人の会社なら人事を兼ねる人が組みます。新卒が10人を超え、人事の担当者がいる会社なら、共通研修は人事が受け持ち、部門長と指導役は受け入れの準備に回れます。

配属前の日数を計算する一例

次の表は、土日を除く週5勤務、研修・準備は1日6時間として計算した架空の記入例です。時間は休憩を含まず、調査から得た標準日数ではありません。共通の説明は各行とも、会社の方針1時間、就業規則1時間、情報の扱い2時間、社内システム2時間の計6時間です。

最初に任せる仕事 配属前に必要な時間の内訳 配属前の期間 配属後の受け入れ条件
事務で請求書の入力を指導役と行う 共通の説明6時間、入力手順6時間、練習6時間、安全衛生教育2時間、伝票の取り扱い4時間、模擬処理6時間=計30時間 5勤務日(1週間) 6勤務日目に指導役が立ち会える
製造で指導役と製品の外観を点検する 共通の説明6時間、安全衛生教育6時間、設備と作業手順の説明12時間、点検練習18時間、品質の判定練習12時間、現場間の移動6時間=計60時間 10勤務日(2週間) 11勤務日目に指導役が立ち会える
営業で先輩の訪問に同行し記録を作る 共通の説明6時間、商品説明6時間、記録の練習6時間、安全衛生教育2時間、訪問準備4時間=計24時間 4勤務日 5勤務日目に同行先と指導役を確保できる
配属先を決める前に、製造・品質管理・営業事務・出荷の4つの職場を回る 共通の説明6時間、外部の合同研修12時間、安全衛生教育6時間、4つの職場で各1週間(各30時間)=計144時間 24勤務日(約1か月余り) 25勤務日目に、本人の希望と各職場の見立てを聞いて配属先と指導役を決める

表の最初の3行は、仕事を始める前に必要な時間を積み上げると1〜2週間に収まる例です。4行目のように職場を回る期間を配属前に含めると、学情の調査で最も多い「1か月超〜3か月以内」に近い長さになります。時間の配分や受け入れ条件は、自社の業務と日程に合わせて見積もります。

事業者は労働安全衛生法第59条第1項と労働安全衛生規則第35条に基づき、雇い入れた労働者に対し、業務に必要な安全衛生教育を遅滞なく行います。教育の内容は従事する業務によって変わるため、表の時間を法定の時間として使わず、各業務に必要な事項と実施時期を決めます。出典:労働安全衛生法第59条、労働安全衛生規則第35条

配属日を動かす場合

表の事務職で、6勤務日目に指導役が不在だと分かったら、まず代わりに指導できる人を探します。確保できなければ、部門長が配属日とそれまでに行う内容を決め直します。待つだけの日を、内容が決まらないまま研修日数に加えないためです。

講師の予定によっても勤務日数は変わります。30時間の内容を1日6時間ずつ行えば5勤務日ですが、講師が毎日3時間しか担当できなければ10勤務日に分かれます。研修に使う時間の合計と、入社から配属までの勤務日数を両方書いておきます。

進めるときの注意点

新入社員が質問や相談をしたことを、できなかった証拠として扱いません。配属前に教える内容と配属後の相談先を本人に伝え、指導役にも引き継ぎます。

入社時教育の項目は入社時教育の内容、実施記録は入社時教育マニュアル、配属後の計画はオンボーディングプログラムの記事で扱います。

まとめ

新入社員研修の期間は、他社の分布を参考にしながら、最初に任せる仕事と、始める前に必要な時間から決めます。研修時間の合計を勤務日に置き直し、指導役が受け入れられる日を配属日として調整しましょう。

研修や育成の進め方について、配属後に最初に任せたい仕事を伺い、見立てをお返しします。お問い合わせはオンラインで受け付けます。

出典

  1. 支える主張3〜4頁の調査概要、40頁の研修期間の分布。

    新入社員研修に関する調査報告書(2021年)株式会社デジタル・ナレッジ・参照 2026-11-03
  2. 支える主張193頁のP社への聞き取りに記された新卒者の研修期間と配属。

    資料シリーズ No.87 ジョブ・カード制度の現状と普及のための課題 第Ⅲ部 資料1労働政策研究・研修機構・参照 2026-11-03
  3. 支える主張1・2・4頁:調査概要と研修期間。

    新入社員研修についての企業調査(2026年)株式会社学情・参照 2026-11-03
  4. 支える主張雇入れ時の安全衛生教育。

    労働安全衛生法第59条厚生労働省・参照 2026-11-03
  5. 支える主張雇入れ時の安全衛生教育。

    労働安全衛生規則第35条厚生労働省・参照 2026-11-03
  6. 支える主張相談の案内先。

    お問い合わせ株式会社Mario Rossi・参照 2026-11-03