この記事で分かること
- 入社前に扱う内容と入社後に回す内容の分け方
- 会社紹介・交流会の形式と参加できない人への案内の例
- 内定から入社までの連絡と担当者の決め方
内定者に会社を知ってもらう機会を設けたい一方で、入社前にどこまでお願いしてよいか、担当者が迷うことがあります。同期との交流や手続きの案内を同じ日に詰め込むと、参加できなかった人への伝え方も決めなければなりません。
入社前に扱う内容と入社後に回す内容を分け、回数と形式を組む手順を紹介します。誰が案内し、参加できない人にどう情報を届けるかまで、記入例に沿って整理します。
内定者研修の目的と範囲
内定者研修は、入社前に会社のことを知り、入社に向けた手続きや連絡先を把握する機会として組み立てます。同期や社員と顔を合わせ、入社前に聞いておきたいことを尋ねる場も設けます。呼び名が「研修」「交流会」のどちらであっても、まず中身と参加の扱いを決めます。
扱う候補は、事業や職場の紹介、同期との交流、入社に向けた連絡先や手続きの案内です。必要な情報を会社が伝えることと、本人が自由に参加する交流の機会は分けて設計します。仕事の成果を求める課題や、業務に使う成果物の提出は入社前の企画に入れません。
入社後に扱う研修内容や計画は、新入社員研修のカリキュラム例やオンボーディングプログラムの作り方で整理できます。
入社前に扱うことを分ける理由
内定から入社までには、学業や現在の仕事、引っ越しなど、本人ごとに予定があります。会社が一方的に複数の課題や日程を決めると、何が入社手続きに必要な案内で、何が自由参加の機会なのか伝わりにくくなります。
最初に内容を分ければ、手続きに関する情報は全員に届け、交流会に参加できない人にも資料や質問先を案内できます。会社を紹介する場では、理念の説明に加えて、どのような仕事をしているか、入社までの連絡を誰が受けるかを伝えます。その場に出席した人だけが必要な情報を得る設計にはしません。
交流の目的も、同期の名前や顔を知る機会を作るところに置きます。発言量や参加回数を評価する場にはせず、話すことを求められた人が答えたくない話題を断れるようにします。
内定者研修を組む4つの段階
- 伝える内容を集めます。 入社までに会社から届ける情報、内定者が質問できる機会、交流の機会を並べます。
- 入社前に扱うかを分けます。 手続きの案内と会社紹介を残し、業務の成果を求める課題は外します。
- 形式と回数を決めます。 対面で顔を合わせる価値、移動や予定の負担、オンラインで伝えられる内容を照らします。
- 案内と担当を決めます。 日程、所要時間、参加の扱い、費用、欠席した場合の情報の受け取り方、問い合わせ先を知らせます。
人事を兼務する会社では、採用窓口を担当する社員が全員への連絡と欠席者への案内を持ち、部門長が職場紹介を整え、社長が会社の方針を話します。担当者が変わっても返事が止まらないよう、連絡先と回答状況を会社内で共有します。
内容と形式を決める記入例
次の表は、入社前に開く機会を整理する一例です。表の内容をすべて集合形式で行うという意味ではありません。案内する情報を先に用意し、集まることで何をするかを決めます。
| 内容 | 入社前に扱うこと | 扱わないこと | 形式と参加できない人への案内 | 担当 |
|---|---|---|---|---|
| 会社を知る | 事業と職場の紹介、社員への質問 | 業務に使う企画書の作成や提出 | オンラインで紹介し、資料と質問先を全員に送る | 部門長が紹介し、採用窓口が質問を受ける |
| 同期と顔を合わせる | 自己紹介と、会社について知りたいことの共有 | 発言回数による評価や参加の強制 | 対面で交流し、欠席者にも後日、会社から必要な連絡を届ける | 採用窓口が会場と連絡を担当する |
| 入社手続きの案内 | 提出書類の一覧と期限、困った時の質問先(書類の中身は案内の資料で) | 手続きの説明を交流会の出席者にだけ伝えること | 書面またはオンラインで全員へ案内し、個別の質問を受ける | 採用窓口が案内し、手続き担当が回答する |
会社紹介では、配属の見通し、最初に担当する仕事、入社までの連絡先について、決まっていることと未定のことを伝えます。会社紹介の資料には、事業の説明に加えて、入社までの問い合わせ先と返答の目安を載せます。説明会の質疑で全員に役立つ回答が出たら、個人を特定する内容を除いて、出席しなかった人にも共有します。個別の事情に関わる質問は本人に個別に返します。
同期との交流では、自己紹介の項目を会社が用意しつつ、話す内容は本人が選べるようにします。対面なら会場と移動の負担が生じるため、会社が交通費を負担するかを先に決め、開催前に案内します。遠方の人が参加できない場合にも、交流会への欠席と必要な手続きの案内を切り分けます。
入社手続きの資料の整理は、オンボーディング資料の作り方を参照してください。個人情報の受け取りと保管は、個人情報保護法などに沿い安全に扱います。
内定から入社までの流れの例
内定から入社までの予定は会社ごとに異なります。次は、内定の連絡から入社までに数か月ある場合の一例です。全員への案内と任意の参加を分けて予定します。
| 時期 | 何をするか | 形式 | 対象・参加の扱い |
|---|---|---|---|
| 内定を連絡した月 | 入社までの連絡先と今後の予定を伝える | 書面またはオンライン | 全員に案内 |
| その2か月後 | 事業や職場を紹介し、質問を受ける | オンライン | 参加は任意。資料と質問先は全員に送る |
| 入社の2か月前 | 同期や社員が交流する | 対面 | 参加は任意。交通費の負担を事前に案内 |
| 入社の前月 | 入社に向けた連絡と質問先を届ける | 書面またはオンライン | 全員に案内 |
時期が重なる場合は、会社紹介や連絡をまとめます。全員への案内は、交流会への出欠と切り分けて届けます。
回数と対面・オンラインの選び方
回数を決めるときは、先に「集まる必要がある内容」と「各自が受け取れる案内」を分けます。会社からの連絡は資料で届けられますが、同期や社員と互いに話す機会には、参加者が同じ時間に集まる形式が向いています。対面かオンラインかは、何を話すかと参加の負担を見て選びます。
一例として、入社までに希望者向けのオンライン会社紹介を1回60分、対面の交流会を1回90分設け、手続きは別途、全員に書面で案内します。会社紹介の前半で事業と職場を紹介し、後半を質問に使います。交流会は自己紹介と社員との会話に充て、参加できない人にも会社紹介の資料と必要な連絡を届けます。
対面は会場の雰囲気や職場を見る機会になりますが、移動にかかる時間や費用が生じます。オンラインは移動が不要な一方、通信環境や静かに参加できる場所が要ります。開催案内では、接続方法や会場の場所に加え、途中参加や欠席の連絡先を明記します。開催日時が合わない人には、録画の視聴を一律に求めず、資料と質問窓口で必要な情報を届けます。
内定者が少人数なら、同期の交流会を無理に設けず、社員に質問できる場を選ぶこともできます。人数が多い場合は会話する組を分け、各組に進行役を置きます。どちらの場合も、実施回数を増やす前に、それぞれの回で伝えることと、集まって話すことを分けます。
実施するときの注意点
参加者の予定を尊重し、任意の会への不参加を理由とする不利益な扱いはしません。案内には任意であることを書き、欠席理由や私生活の事情を答えるよう求めません。社員が交流の場を担当する場合は、準備と当日の時間を業務予定に組み込みます。
任意の学習教材を送る場合は任意と明記し、提出や進み具合の確認を求めません。提出や進捗の報告を求める場合は、次の労働時間の扱いを踏まえて検討します。
研修が労働時間に当たる場合は、入社前でも賃金を支払う義務があります。労働時間に当たるかは、名前を「任意」とするだけで決まらず、指揮監督や業務性など実態で判断します(東京労働局「労働基準法 素朴な疑問Q&A」20頁)。参加や課題提出を指示できるかは別の問題です。契約の内容や就労開始時期、実際の指示を踏まえ、実施前に社会保険労務士などの専門家に相談します。
企画の案内には、目的、内容、所要時間、参加の扱い、費用、欠席時の案内、質問先をそろえます。送付後に変更があった場合も、誰に何を送ったかを窓口で整理し、前の案内との差を伝えます。参加の返事がない人には必要な連絡が届いているかを尋ね、参加そのものを迫りません。
まとめ
内定者研修は、会社を知ること、同期や社員と顔を合わせること、入社手続きの案内を目的に組み立てます。業務の成果を求める課題を外し、集まる場と全員に届ける情報を分けます。
内容ごとに形式を選び、担当者と欠席者への案内を決めてから日程を知らせます。参加を求める企画を検討するときは、実施前に契約や指示の内容を専門家に相談します。
内定者に伝えたいことと入社までの予定を伺い、どこから始めるか、研修で何を扱うかの見立てをお返しします。お問い合わせはオンラインで受け付けます。
出典
支える主張1頁:労働者の研修について、自由参加と実質的に参加が強制される場合の労働時間の考え方。
労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い支える主張20頁「入社前研修でも給料を払うべきですか」:労働時間に該当する場合の賃金と判断基準。
労働基準法 素朴な疑問支える主張相談の案内先。
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