この記事で分かること

  • 米国では研修後も新旧のやり方を併用
  • 情報セキュリティ研修を流し見する人もいる
  • 学ぶ内容ごとに適した方法の回答が異なる

米国の調査では、研修で学んだ新しいやり方を一貫して使う人は41%で、73%は新旧のやり方を混ぜていました。研修を用意したことと、それが仕事で使われ、本人の成長の実感になることの間には、まだ距離があります。4件の調査から、その距離のどこに会社が手を打てるかを考えます。

取り上げるのは、2026年10月17日〜11月3日に公表された民間の調査です。対象を限った調査で、数字は本人の回答です。日本の働く人全体を表すものではありません。

1.TalentLMS:研修後も、新旧のやり方を使っている

TalentLMSは10月27日、米国の従業員に、研修で学んだ新しいやり方をその後どう使っているかを尋ねた調査を発表しました。2026年9月に、過去12か月に新しい道具や技術、仕事の進め方の研修を受けた25〜64歳のフルタイム従業員1,500人が回答しています。TalentLMSの調査報告

新しいやり方を研修後に一貫して使うと答えた人は41%、仕事のために新旧のやり方を混ぜていると答えた人は73%でした。2つは別々の質問への回答です。新しい手順を教えて終わりにせず、従来の手順がなぜ残るのかまで見ておくと、使われない理由を探る手がかりになります。

日本の小さな会社に置き換えた一例として、新しい勤怠の道具を入れた後も、紙の申請が残っている場面を考えます。導入から1か月後に、上司と担当者が勤怠の申請を1件選び、新旧それぞれの手順を使う場面と、紙を残す理由を書き出します。理由がもっともなら、会社の手順の方を直します。

2.リサート:研修がある人の32%が、流し見や聞き流し

リサートは10月23日、情報セキュリティの研修についての調査を公表しました。2026年10月16〜17日に全国の20〜59歳の男女800人に尋ね、働く回答者のうち勤務先に情報セキュリティ研修やeラーニングがある人の32%が、流し見や聞き流しで済ませていると答えています。出典:リサート調べ

調査は流し見の理由までは尋ねていません。受講の記録が残っていても、内容に向き合えたかは別に見る必要があります。

理由が分からないうちは、会社の側で変えられる所から見ます。次の研修を準備する時は、担当者が情報セキュリティの教材を1本選び、受講に何分かかるか、その時間を業務中のどこで取るかを、社員の予定と照らして先に決めます。

3.SMBCコンサルティング:学ぶ内容によって、適した方法として選ぶものが違う

SMBCコンサルティングは10月29日、学ぶ内容ごとに適していると思う方法を尋ねた調査を発表しました。同社の対面型セミナー受講者を対象に、2026年8月19日〜9月30日に行った調査で、集計は3,706件です。各テーマで8つの方法から1つを選び、有効回答はテーマごとに3,119〜3,170件でした。2026年SMBCビジネスセミナー「みんなの研修」調べ

基礎知識の習得では生成AIが38.6%、マネジメント・部下育成では対面型研修が39.0%で、それぞれ最多でした。回答者は対面型セミナーの受講者で、実際の学習効果を比較した結果ではありません。学ぶ内容によって、最も多く選ばれる方法が分かれています。

管理職研修を組む時は、知識は生成AIや読み物で事前に済ませ、集まる時間は部下への仕事の伝え方を練習する場に充てる、という分け方から始めます。どちらの方法で学びたいかは、受講予定の管理職に先に聞いておきます。

4.KeySession:研修と日常業務での支援、それぞれの成長の実感

KeySessionを運営する東邦メディアプランニングは、研修や日常業務を通じた支援が成長につながっていると感じるかを別々に尋ねました。2026年9月18日、全国の20〜59歳の正社員300人に行ったインターネット調査です。研修比較のKeySession調べ

研修・学習機会が成長やキャリアにつながると「強く感じる」「ある程度感じる」と答えた人は37.3%でした。OJTや上司の指導・フィードバックなど、日常業務を通じた支援について「強くそう感じる」「ややそう感じる」と答えた人は39.3%で、どちらも4割に届きませんでした(選択肢の言葉は設問ごとに少し異なります)。研修と日常業務の支援をそれぞれどう受け止めているか、社員に聞くことから始めます。

研修の1か月後の面談で、上司が本人と研修で学んだことと日常業務で受けた支援をそれぞれ振り返ります。成長につながったと感じたことや、今後取り組みたい仕事を本人に聞きます。

会社で確かめておきたいこと

4件の調査を踏まえ、自社の研修について次の3つを考えてみてください。

  1. 社員が研修に取り組む時間を業務中に取れていますか? 学ぶ内容に合う方法を社員と話していますか?
  2. 研修後の仕事で、新しく学んだやり方と従来のやり方はどの場面で使われていますか? 使いにくいところを上司に話せますか?
  3. 研修で学んだことを試す仕事や、上司に相談する機会はありますか? 本人はその経験をどう受け止めていますか?

答えに詰まった問いがあれば、その場面から研修と職場での支援を見直します。研修後に試したい仕事を伺い、研修で何を扱うか、職場でどのように試すかの見立てをお返しします。オンラインで受け付けます。

研修と仕事での実践について相談する

出典

  1. 支える主張米国で過去12か月に新しい道具や仕事の進め方の研修を受けた25〜64歳のフルタイム従業員1500人への調査。41%が研修後に新しいやり方を一貫して使うと回答。

    Habit hugging: When old habits block new ways of workingTalentLMS・公開 2026-10-27・参照 2026-11-03
  2. 支える主張全国の20〜59歳800人への調査で、勤務先に情報セキュリティ研修やeラーニングがある人の32%が流し見や聞き流しと回答。該当者数は本文に明記なし。

    情報セキュリティ研修がある人の32%が流し見や聞き流し、内容を十分と思う人は24%リサート・公開 2026-10-23・参照 2026-11-03
  3. 支える主張対面型セミナー受講者の回答3706件を集計。テーマ別の適した学習方法の回答は設問ごとに3119〜3170件で、マネジメント・部下育成では対面型研修が39.0%。

    AI時代の学び方、基礎知識は「生成AI」、判断・マネジメントは「対人・対面」を重視SMBCコンサルティング・公開 2026-10-29・参照 2026-11-03
  4. 支える主張正社員300人の37.3%が研修・学習機会は成長やキャリアにつながると回答。日常業務を通じた成長支援については39.3%。

    人材育成と転職意向の実態調査!正社員300名に育成計画や研修有無をアンケートKeySession(株式会社東邦メディアプランニング)・公開 2026-10-19・参照 2026-11-03
  5. 支える主張相談先。調査の根拠資料ではない。

    株式会社Mario Rossi 研修株式会社Mario Rossi・参照 2026-11-03